ホンモノの寒牡丹 冬の石光寺と二上山の借景 自然が育てた「本物の寒牡丹」だから、生命力に溢れています。厳しい冬を力強く生き抜く寒牡丹の様子をご覧ください。

神秘の世界 ホンモノの寒牡丹に触れてみませんか?

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寒牡丹の発祥は春牡丹の品種改良の交配時に何らかの原因で染色体に異変を起こし、二季咲きの品種として出現したものです。

そのことについてもう少し詳しく言いますと遺伝子には優性遺伝子劣性遺伝子があり、生物には大体この両方の遺伝子が具わっています。ですが大概この劣性遺伝子の形質は形として現れることがありません。ところが極稀に優性遺伝子ではなく劣性遺伝子しかもちあわせていない個体が出現することがあります。(いわゆる純系)。

さてこれを牡丹にあてはめてみますと、いわゆる春咲き牡丹(春にしか咲かない一季咲きの形質)は優性遺伝子であり、寒牡丹(春と冬に咲く二季咲きの形質)は劣性遺伝子となります。

極稀に春咲き牡丹が冬に咲くのはその品種の優勢と劣性遺伝子が激しい気候の変動によりショックで劣性遺伝子が顔を出すことがあるからです。これを一般に「返り咲き」とか「狂い咲き」と呼ばれる現象です。

それに対して寒咲き牡丹は「返り咲き」でもなく「狂い咲き」でもありません。(春しか咲かないという一季咲きの)優性遺伝子はなく(春と冬に咲くという二季咲きの)劣性遺伝子しか持ち合わせてないのですから毎年確実に春と冬(初冬)の二季咲きとなります。

このことから分かりますように劣性遺伝子即ち寒牡丹の出現は春咲き牡丹と比べると確率は500分の1とか1000分の1ともいわれています。さらにそれが鑑賞に耐える花となるともっと確率は下がるでしょう。

ここで誤解してはいけないことは寒牡丹は劣性遺伝子だから弱いという意味ではなく、むしろ小柄ですが誠に樹勢が旺盛だということです。冬に自力で咲くというのも頷けます。

戦渦から守り継がれた寒牡丹

銘花といわれる牡丹はやはり”関西牡丹”とよばれる古典品種であろうと思われます。明治の頃、大阪府池田市や宝塚市山本で盛んに品種改良が行われ傑作といわれる上品な優れた品種が数多く作出されました。

またそれに名づけられた品種名もすばらしいものばかりでした。おそらく昔の人は花の名前にその花容を重ね合わせて一輪一輪深く味わいゆったりとした時間を楽しんだことでしょう。しかしそれも長く続かず戦争による国策でかなりの品種が消滅したようです。

私どものお寺は時代の波にもまれながらもかろうじて銘花といわれる品種を、全てではないにしろ数多く守り継がれたようです。それは代々牡丹の接木を行って品種を維持してきたからです。

寒牡丹もその中の一つです。昔は寒牡丹の観光地も多かったようですが、育成が難しくなんといっても成長して冬に開花するまで年数がかかり根気がいります。早く楽して収入につなげようとするとかえって育たなくなってしまいます。

冬牡丹

“冬牡丹”は翌年から冬には咲かない

そこでもっと楽に観光を展開しようというわけで”寒牡丹”ではなく”冬牡丹”と称するものが出現しました。これはもう皆様方ご承知の通り春咲き品種を温室で促成栽培して冬に咲かせたものですから、牡丹のは花には変わりがないのですが、寒牡丹とは全く姿が異なります。

役目が終わった冬牡丹は春咲きの品種ですから温室を使わない限りもう冬に咲くことはないでしょう。従って以後春牡丹として人々の目を楽しませて欲しいものです。しかし注意しなければならないのは自然の状態で育ったのではないですから花後弱っていることも考えられます。疫病にかかりやすく夏を越せないで枯死してしまうか、仮に生き延びても2〜3年花を付けないことも考えられます。罹病による土壌汚染にも注意しなければなりません。

一方寒牡丹は自然の状態で自力で咲いたのですから花後は春に向けて体調を整え疫病に対する抵抗力を強めてまいります。そして4月になれば見事な元気な葉を広げます。12月1月の時の姿とは全く別物のような姿です。そして5〜6月には緑の分厚い葉に成長し夏を乗り切りその時にたくさんの養分を蓄え冬の開花に備えます。

寒牡丹の接木について

接木小刀

接木麻ひも

先ほど触れた接木について説明します。台木は昔、原種牡丹の種を蒔いて2〜3年の苗を使ったようですが、
大量生産及び根が張るため荷造りの効率が悪いため現在は殆ど行われておりません。

それに代わってシャクヤクの根を牡丹の接ぎ台として使用されるのが一般化しました。
これの利点は大量生産が出来、またシャクヤク根は少々切り詰めて箱詰めしてもよいため
荷造りの効率が非常によく、生産者は全てシャクヤク台牡丹を扱っています。

ところが寒牡丹となると、その品種によってはシャクヤク台を採用すると花を見る前に寿命がきて枯れてしまう場合があります。

寿命についていいますと、

・シャクヤク台を採用した場合自根が育たなければ15〜20年がいいところでしょう。
・牡丹台を採用した場合、自根が育たなくても20年以上長生きします。

ところで寒牡丹は満足に花を付けるようになるには最低10年かかります。そして木に力がつき少々の寒さでも見事に花を付けるようになるには20年以上かかります。それを考慮に入れれば観光として寒牡丹を展開するにはやはり牡丹根を台木として使うのが妥当かと思われます。

また花も大きくて立派です。春牡丹についても牡丹台木を使った株は素晴らしい花ですし日中の花崩れもある程度防げます。

先代住職の牡丹・芍薬にかけた思い

与謝野晶子、鉄幹

花の寺25「霊場」いろいろあって石光寺の特徴はいくつかあります。

・古典品種(こてんひんしゅ)と言われた銘花が多い(数多くの文化人が訪れている)
・先代住職が残した牡丹の専門書(NHK出版と数少ない専門書)

先代住職の情熱が伝わったのか、
与謝野晶子、鉄幹などの俳句や詩人といった数多くの
文化人が本物を求めて、毎年石光寺に来られており、
いろんな手紙や句を頂戴しております。

特に花の寺25にも所属し、先先代から受け継がれた
牡丹や芍薬には並々ならぬ、深い思いがあります。

先代住職の著書を紹介

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「ぼたん・しゃくやく」

先代住職の書いたこの書籍は、
牡丹の育て方について
とても詳しく書かれております。

<その他書籍>
・NHK出版1冊(廃盤)

牡丹に関する専門書は、二種類と
とても少なく貴重です。

あなたが感動している冬の牡丹・・・もしかして寒牡丹ではないかもしれません。